2016年度決算について討論に臨みました

2017年10月5日 01時24分 | カテゴリー: 活動報告

平成28年度は、第6次府中市総合計画 前期基本計画の折り返しの年でした。
公共施設の老朽化対策の対応や、待機児問題の解決も喫緊の課題でもあり、どのように市民のニーズに対応したのかが問われた年であった、と言えます。

当初予算額は1010億円で過去最大といわれましたが、決算額はそれをはるかに超えて1095億円となりました。市税収入、中でも法人市民税の伸びがありますが、義務的経費以外の経常経費と大規模事業の進捗により、投資的経費が増大したことによる事業費への交付金と、市債の伸びが影響しています。

【歳入】

市税収入は、511億円で歳入の47.4%、予算現額の0.6%の増です。
個人市民税は、ここ数年増加傾向にあり、全体として給与収入も伸びていますが、納税義務者数の約半数が200万円以下と、依然として市民の生活は厳しいことが伺えます。
法人市民税は、法人実効税率の引き下げによる、減額の影響もありましたが、当初見込みになかった特定の法人からの税収により、大きく落ち込むことはなく、基金からの財源補填の必要性はなくなりました

しかし、市債の発行額は、総合計画で示された財政計画からは大きく乖離して54億円にもなりましたが、これは、当初の見込みに含まれていなかった給食センター新築事業の影響によるもので、市債54億円のうち36億円をしめています。

【歳出】

■総務費の戸籍住民基本台帳費
マイナンバー制度によるコンビニ交付運営費などが計上されました。
コンビニでの証明書交付については初期投資だけでなく、ランニングコストも大きくかかることがわかりました。生活者ネットワークはこれまでも情報漏洩などの安全性の問題も指摘してきました。通知カードも5,000枚以上が本人の手元には届かず、市に返戻されていますが、市による実態把握は遅れています。このように、制度自体もさまざまな問題があり、市 独自の利活用もこれ以上進めるべきではありません。

■民生費・障害者福祉費
6つの事業については、所得による受給要件の見直しが、また、指定疾病者福祉手当は都の難病指定の数が増えたことで、一人当たりの支給額が大きく減額されるなど、これまでにない多くの事業の見直しがありました。障がい者へ、市が重要な福祉施策として続けてきた支援を、福祉的な視点ではなく、経費の観点からの削減となりました。

■児童保護費 青少年健全育成費
子ども子育て支援新制度の下での2年目でしたが、子育て世代の転入の増や、共働き世代の増加から、府中市としては保育所や学童クラブの充実が課題でした。待機児解消だけでなく、公立保育所の民間への移管について、保護者などとの合意形成も図られましたが、基幹保育所における「利用者支援」のための施策が計画通りには進んではいない状況です。地域ではさまざまな困難を抱える子育て家庭が増加しており、基幹保育所での相談支援の充実は緊急の課題です。
そして新制度の中で位置づけられたにもかかわらず、学童クラブの施設の問題と指導員不足も、対策が不足しています。

■衛生費
塵芥処理費では28年度までのここ数年間、多摩川衛生組合への搬入量、リサイクルプラザへの搬入量は、ほぼ横ばいです。その中で、府中市の一般廃棄物処理計画策定も進んでいます。クリーンセンター多摩川の焼却施設更新に向けて、負担増が今後見込まれます。ごみ減量施策を進めるとすれば、多摩地域全体でもごみの減少が続いていることも含めて、組合に対し焼却炉のダウンサイズでの更新を求めるべきです。また、市が二枚橋衛生組合の廃止に伴う広域支援として、契約を開始した、圏外の民間施設へのゴミ搬入が、未だに続けられています。そこでの処理単価は高額であり、早急に見直すべきです。

■教育費
特別支援教育推進事業
「合理的配慮支援員」という支援員が付きました。「合理的配慮」とは、障害者差別解消法で、障がい者と健常者との格差、つまり障壁をなくすための配慮をして、健常者と同じように暮らせるような社会にするための手段のことを指します。中でも、公共や教育ではその「配慮」が求められています。府中市では、この「合理的配慮」を掲げた「支援員」の要綱を作りましたが、決算委員会でのやり取りで、教育委員会が、教育的に必要であると認めた場合にのみ、当事者や家族にこの制度が案内されたり、配置されていることがわかりました。これでは従来の支援員の考え方と変わりがなく、共に同じ教育を受けるための「合理的配慮」とは言えません。相談に来る子どもと保護者の、当初の希望通りに進路を選ぶことができるよう、支援員配置の考え方を変えるべきです。

教科用消耗機材費
教材費のドリルワークについては、行財政改革プランの一環として、公費負担の見直しが行われています。教育委員会は、教育費予算の適正配分との説明で、保護者に負担を強いる考えではないと言いますが、一方で学校裁量による市内の公立小中学校の中で、教材の保護者負担額も増えており、学校間での差が大きくなっています。学校ごとのニーズにあった教材を確保したい、ということですが、子どもたちにより良い教育を受けさせるということであれば、学校に係る経費は「義務教育の無償化」という本来の考えに立ち返るべきです。特に経済的に困難を抱えている家庭においては就学援助費の増額で対応するなどの、配慮が必要です。
子どもの貧困が大きく社会問題として捉えられ、国をあげて貧困の連鎖を防ぐ動きがある中で、経済格差が子どもの育ちに影響しないように取り組むべきであるところを、公費負担の見直しは、時代に逆行する施策です。

 

決算状況を投資的経費から見ると、見通しでは98億円だったところ、実績は2倍以上の204億円となり、特に大規模事業の計画は、数年後のことでも見通すことが難しいということが明らかになりました。市債や基金で補えている、財政的な見通しは問題ない、との市の見解ですが、今後考えられる公共事業は、まだ明らかにされていません。市は議会に対して、事業計画と、それに伴う財政計画の考え方を示すべきです。

以上、平成28年度決算を見ると、予算編成時では事務事業の見直しに徹底的に取り組むとして、事務事業単位でシーリング率を定めて、一律の経常経費削減を行なった結果、費用対効果といった、効率では測れない福祉費や子どもたちへの教育費が影響を受けたことは明らかで、将来に影響が出てくることは確実です。
投資的経費については、28年度は大幅な事業費増となった再開発事業や、給食センター事業など、市債として将来に負担を残しました。このような本決算案について、生活者ネットワークは反対しました。